健康科学科

教授

大澤 功

OHSAWA Isao

複雑で多様な時代だからこそ、よく考えて判断することが必要である。

職位/学位 教授/博士(医学)
資 格 日本内科学会認定総合内科専門医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本医師会認定産業医
担当科目 健康医学入門、健康統計学、衛生学・公衆衛生学、保健科教育法Ⅲなど

学生、あるいはこれから入学を目指す方へ

心と身体の健康を学ぶことは、人が幸せに暮らすにはどうしたら良いかを学ぶことにつながります。自分だけの幸せではありません。みんなが幸せになるために必要な力を学ぶことだと思います。これが、私が考える健康科学です。
 残念ながら現在の社会は、分断、格差、いじめ、虐待、貧困、戦争・・・・等、ネガティブな言葉がいっぱいです。私達はこんな社会を望んでいるわけではありません。みんなが知恵を出し合えば、もっと幸せに暮らせるはずです。
 そのためのひとつのアプローチ方法が、健康科学を学ぶことです。健康科学の学びを通じて、複雑で多様な社会を理解し、よく考えて適切に判断し、行動できる人間になってほしいと思います。

研究紹介

コロナ禍で注目された言葉のひとつが、エビデンスです。「行動制限の効果にエビデンスはあるのか?」、「ワクチンが有効であることを示すエビデンスはあるのか?」等、しばしばエビデンスの有無が問われています。
しかし、エビデンスがないと意思決定ができないというのでは困ります。エビデンスはあってもなくても意思決定をしなければならないからです。
実はエビデンスは有無が問題ではなく、強さが問題になります。つまり、収集可能な情報からそのエビデンスの強さを評価して、よく考えて判断し、行動することが重要です。この意思決定のプロセスは、医療現場では科学的根拠に基づく医療(EBM: Evidence-based Medicine)として知られています。近年では、他の分野でも同様の概念が重要視されるようになりました。証拠に基づく政策立案(EBPM: Evidence-based Policy Making)もその一例です。しかし、統計データがあれば良いというものではなく、少し誤解があるように感じます。
以前から私がずっと関心を持っている研究テーマが、「医療における意思決定」です。医療現場では患者さんを目の前にして、検査をするかしないか、治療をするかしないか等、意思決定の連続です。患者さんにとって適切で妥当な意思決定は、どのようなプロセスを経てなされるのでしょうか。
個々の医療だけでなく、もっと大きな立場である保健医療政策の決定においても、意思決定のプロセスは重要な意味を持っています。有効性、安全性、経済性、国民の価値観や意向、さらには倫理的な問題をも含めて意思決定のプロセスには種々の要因が絡んできます。それぞれの要因をどのように評価し、何をどれだけ重視すべきでしょうか。議論は尽きません。
この考え方は専門家だけでなく、広く一般の市民の方々にも重要になります。我々の周囲にはいろいろな健康情報が溢れています。その中で我々は適切な意思決定をして行動しなければなりません。他人任せではなく、自分で考えて行動できるようになることが必要です。
こういった能力やスキルをヘルスリテラシーと言います。健康科学を学ぶことは、まさにヘルスリテラシーを身につけることになります。私の講義やゼミでは、このヘルスリテラシーを学生さんといっしょに学ぶことができればと思っています。

私の大学生時代

医学部6年間の学生生活の中で、後半の3年間は医師になるための勉強に力を入れましたが、最初の3年間はあえて医学以外のことを意識していたような気がします。サークル活動に打ち込む、医学関係以外の本を読む、映画や演劇,コンサートに行く・・・。これらは生涯の友人につながり(そのひとりが伴侶です)、医師としての自分という人間を作り上げる基礎となっています。あまり将来を意識する必要はありませんが、学生時代にしかできないことをやることはとても有意義だと思います。

私と健康

「医師の不養生」とよく言われますが、特別なことはしていません。あえて言えば睡眠時間を確保することでしょうか。どんなに忙しくても、たとえ明日までにやらなければならないことがあっても、必ず眠ることにしています。睡眠は心身の健康の基本です。身体的な疲れを回復させるだけでなく、精神的な疲れも癒やしてくれます。嫌なことがあっても、怒れることがあっても、一晩眠ると落ち着きます。ただ最近は、年齢のせいか、眠りが浅くなったり、朝早く目覚めてしまったりするのが問題です。