介護老人保健施設で管理栄養士として、ご入所・ご利用されている方々の栄養管理を行っています。給食は全面委託であるものの、指導・運営にも携わり、適宜厨房に入りながら嚥下調整食・行事食・ターミナル対応食などの調理・提供も行っています。
生きる喜びになる
食事を届けたい。
医療法人山本会 介護老人保健施設 シルバーケア日野 (管理栄養士)
山中 脩矢さん
高齢者の方々への栄養管理、食事の調理・提供を行っています。
幸せ、生きがいにつながる、おいしい食事を提供したい。
高齢者は噛む力、飲み込む力が弱くなったり、病状の安定を図るために施設入所によって自由に食べたいものが食べることができなかったりと、どうしても食事の制限が増えてくる実状があります。これに加えて、加齢によって身体機能も落ち込み、できないことが増えてきて意欲も落ち込む傾向にあります。そんな中でも1日3回とおやつを加えた食事は高齢者にとっての数少ない楽しみであり、そこにある“食べたい”という小さな夢に応えて、他職と連携しながら我々管理栄養士が安心・安全でおいしい食事を提供するといった食と栄養のサポートをさせていただくことで、もう一度幸せや生きがいを感じていただくことにやりがいや楽しさがあるのではないかと思います。
生きる意欲を後押しできる仕事。
・“元気になって家に帰りたい”という在宅復帰予定の方へ栄養ケアを行うことでサポートさせていただき、実際に復帰されたときの感謝の言葉と笑顔を見られた時。
・加齢や体重減少・病状の悪化に伴う咀嚼・嚥下機能の低下にて医師・言語聴覚士や他職と連携をとりながら入所者の“食べたい”という思いに応えた食事づくりを行い、おいしいと喜んでいただけた時。
・ターミナル対応で、本人や家族の希望を伺っての食事対応を通して“生きていてよかった”と感じていただき、よりよい最期となるようサポートさせていただいた時。
条件がある中で、食を通して幸せをサポートしたい。
この仕事に就こうと思ったきっかけは、高齢者施設での臨地実習です。1週間という短い実習期間の中で、摂食拒否のあった入所者様を担当しました。食事介助を担当する中、いちごが好きだということが分かり、施設の医師・管理栄養士に許可をいただいて、いちご味の栄養補助食品を提供しました。その結果、これまで見られなかった満面の笑顔で「おいしかった」と完飲してくださいました。この体験から自分の手で作った食事で人を笑顔にして幸せにできたらと思い、中でも、食べることに何らかの条件が課せられている方々に対してサポートしていきたいと思うようになりました。
今の仕事に通じる、大学の学びや経験。
グループでの授業がとても多くあり、作業分担や連携・協力しながら1つの物事を進めていくノウハウが身につきました。これが今の基本業務である一つの献立を皆で作り上げていく給食業務やご入所・ご利用いただいている方一人ひとりへの栄養マネジメントも他職と連携・協力しながら取り組んでいくため生かされていると感じます。
また、ゼミナールでの活動(卒論のための研究だけにとどまらず、食育活動・食に関するイベントへの参加)、教職課程(栄養教諭)の専攻、低学年への授業の助手経験など、多様な経験ができ、自身を成長させてくれたと感じています。
食と栄養に関する知識と技術を自然に高められる環境。
学生は食について興味・関心のある人がほとんどで、日頃から食について考えを話し合ったり、イベントに参加したりしていました。また、ゼミナールごとに特色があり、研究室として実験・調理設備を備えているものもあるので、自分の探求心に応えてくれる環境があります。また、愛知学院大学では教職科目も履修でき、食事面で人に指導していくスキルを養うこともできました。
尽きることのない、おいしさへの好奇心。
小さい頃から食べ物に興味・関心があり、「おいしい」とはどういうモノやコトなのか考えてきましたが、まだまだ発見や驚きの毎日で勉強不足であるなと感じることが多いです。 それでも日々食べてくださる方へ思いやりを込めて、安心安全でおいしい食事づくりを心がけています。さらに理解を深めて将来は、お店のような形で自分の手で安心安全でおいしい食事の提供をしていくことが夢です。
Message
どんな分野で誰にどんなサポートをしたいか、思い描いてみよう。
食への興味関心から、在学中はとにかくおいしいものを食べたり作ったりすることに時間を費やしていました。人々の健康を食と栄養でサポ―トをしていくには学生の頃に五感で味わい作った経験が生かされていると感じます。
栄養士・管理栄養士は幅広い分野やライフステージを対象に活躍していく職業の一つですが、「将来、自分はどの分野で誰に対してどのようなサポートをしていきたいのか、どのような栄養士・管理栄養士になりたいのか」、そんなイメージがあればより自分らしく活躍のできる仕事ができるのではないでしょうか。私は現在も模索中ですが、なんとなくでも頭の片隅に置いて、たくさんの人とおいしいものを食べて、自分自身の食の充実を図ったり、食への興味関心を高めていくうちに段々と見えてくるのではないかと思います。